自転車のブレーキが甘くなる原因はワイヤーの初期伸び
自転車に乗っていると段々ブレーキが甘くなってきた経験はないでしょうか。気のせいだと思われていたり、漠然となんらかの不具合だと思われている方は多いようですが、これは「ワイヤーの初期伸び」です。
■自転車のワイヤーとは
物理現象で絶対に避けることができない事象なのです。
ちなみに、自転車にはワイヤーが2か所使われています。
1つ目はブレーキです。
左右あるので、合計2本。
そして、2つ目は変速機です。
カッコよくディレイラーと呼ぶこともあります。
これもワイヤーで段を切り替えていますので、1本使われています。
ちなみに、前と後ろにディレイラーがある場合は、それぞれワイヤーが1本使われますので、合計で2本ということになります。
自転車1台でワイヤーは3本ないし、4本使われていることが分かりました。
■ワイヤーの初期伸びとは
ワイヤーは、金属のワイヤーが複数よられて、それを更によってワイヤーにしています。
簡単に言うと、細い針金を束ねて1本のワイヤーになっています。
そのため、引っ張ると隙間の部分が詰まるのです。
詰まったワイヤーは元に戻りません。
つまり、最初よりも伸びた状態で落ち着きます。
これが「初期伸び」です。
物理現象なので、どんなに高級なワイヤーを買っても初期伸びは発生します。
多分、自転車ではないと思いますが、一般的には「プリテンション加工」と言うものが存在します。
簡単に言うと、先に負荷をかけて初期伸びを誘発させ、伸びた状態で使う方法です。
自転車のワイヤー程度でやっているのを聞いたことがないですが、マニアックな方はやっているかも?
普通にセットして、1か月程度で調整し直すのが一番簡単な対策だと思います。
■初期伸びはいつ起きるのか
初期伸びは、その名の通り新品の自転車に乗った時に大体1か月目で経験するでしょう。
厳密に言うと、期間ではなくどれくらい引っ張ったかによって伸びます。
具体的にどれくらい伸びるのかは意外と難しいです。
ワイヤーによって違うし、ワイヤーのより方によって違うみたいなのです。
直径で12mmとかあるような自転車では絶対使わないようなワイヤーの場合、2%程度と数値があったのですが、自転車で使う様な細い物の場合情報として公開されていないようです。
ただ、仮に2%としたら、ワイヤーが2メートルに対して2%で2000ミリ×2%=40ミリ(4センチ)とかなり伸びることは分かります。
実際には(肌感覚ですが)20ミリ程度なので1%程度の伸びだと思われます。
■初期伸びの判断
ブレーキワイヤーの場合は、ブレーキレバーの遊びが大きくなってきます。
しっかり握ればブレーキはかかるのですが、遊びの部分はブレーキがかからないということ。
やっぱりそれでは危ないので、調整した方がいいです。
(1)
ディレイラー(変速機)用のワイヤーの場合、ギアチェンジの時に入りにくくなります。
これは、ワイヤーの伸びにより、本来引っ張り上げないといけないところまで引っ張り切れないことが考えられます。
■初期伸びの対処法(初期)
初期伸びは、初期だと比較的簡単に直せます。
工具も要らないし、特別な知識やテクニックも要らないので、ぜひ知っておいて試してください。
やっぱり、自転車は快適な状態で乗ることで安全に、楽しく、気持ちよく乗れます。
ブレーキの利きが悪い自転車はやっぱり乗っていて気持ち良くないです。
初期伸びしたブレーキワイヤーによるブレーキレバーの様子
ブレーキレバーの辺りに「アジャストボルト(調節ねじ)」と呼ばれるねじがあるので、これを回します。
右ねじの法則に則って回していき、ワイヤーを突っ張る方向に回していけば、ある程度改善されます。
(2)
■初期伸びの対処法(中期以降)
この「中期以降」というのは実は矛盾があるかもしれません。
もはや、ワイヤーの「初期伸び」ではなく、「劣化」だと思うからです。
絶対調整した方がいいです。
調整するとこんな感じになります。
(3)
初期伸びに比べてじわじわとですが、ワイヤーは伸びていき、ある一定のところを超えると切れてしまいます。
複数の線が束ねてあるので一気に切れることはないと思いますが、ブレーキとしては使い物にならない状態になりますので、初期伸び以降(購入から1か月以降)でワイヤーが伸びて来たと思ったら、交換することを考えていた方がいいと思います。
いつ切れるかは経験則的なところもあるのですが、ある時急にブレーキが固くなります。
そうなると比較的短い時間で切れますね。
さて、ブレーキワイヤーは消耗品なので、切れない方法をお知らせするよりも、ワイヤーが伸びてブレーキの効きが悪くなった時の対処法をお知らせします。
ワイヤー固定のボルトを緩めます。
一人で作業する場合は、緩めるだけで十分ですが、ブレーキシューをおさえるバー部分が弾ける様に開くことがあるので注意しましょう。
余裕があれば、矢印の部分を押しながら作業すると、ワイヤーを閉める時が簡単です。
詰めた場合は、画像の赤丸の部分が以前固定していた場所で、それよりも内側で固定しています。
(5)
つまり、以前よりもきつい位置で止めた→ワイヤーを詰めて固定しているということです。
あまり押さえすぎると、ブレーキが常にかかった状態になりますので、やりすぎないような兼ね合いが必要です。
数回失敗したらできるようになると思いますので、ぜひトライしてみてください。
ねじはくれぐれもしっかり固定してください。
心配なようなら、近所の自転車店でやってもらえると思います。
外部ライター:奥野 晃一