UCIについて知っておくべきこと
ICANのホイールには、UCIのスタンプシールが付いているモデルがあります。
それが何を意味するのか、ご存じの方も多いと思います。
つまり、それはUCIに認証された製品であり、信頼に足る一流品の証である、ということは多くの関係者が認めることです。
では、なぜUCIなのか? これから探っていきたいと思います。
1 UCIとは?
まず、UCIの歴史と、自転車界における絶大な権威を持つに至った経緯を紐解いていきましょう。
① UCIの歴史 (その1)
UCI(Union Cycliste Internationale)は、あらゆる自転車競技の世界を統合する世界的な組織です。スイスのエーグルに拠点を置いています。
前身のICA(International Cycling Association)から、1900年にUCIとなり現在に至るわけですから、長い歴史を有していることがおわかりいただけるでしょう。
この時の加盟国は、フランス、ベルギー、アメリカ合衆国、イタリア、スイスでした。
1965年には、IOC(国際オリンピック委員会)の要請を受け、傘下にFIAC、FICPを発足させ、オリンピックの自転車競技を統括します。
1992年になり、この両者は統合され、UCIの中に組み込まれます。IOCとの関係強化によりUCIの権威は強固なものになっていきます。
② UCIの歴史 (その2)
UCIが自転車競技に対しておこなった最大の変更点のひとつは、2005年にプロツアーを創設したことです。
それまでも、プロロードレースは、UCIロードワールドカップとしてUCIがメジャーな大会を統括していました。
2005年になり、三大ツール(ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャ)や他の有名レースを加えた大規模なUCIプロツアーに移行します。
この変更により、UCIは20のツアーチームにプロツアーライセンスを付与し、プロツアーカレンダーのすべてのレースに参加するシステムをつくりあげます。その後、範囲をヨーロッパから世界のレースに拡げます。
これにより、UCIは、名実ともに全世界の自転車界に絶大な影響力を持つ組織となったのです。
2 UCIのルール
UCIの絶大な影響力は、レースだけにとどまりません。
レースでの車両に対する規定を定めたことにより、レース機材にとどまらず、一般の市販車にも影響を与えています。
市販車に対するUCIマークの認定はその最たるもので、これは、UCIが定めた厳しいテストに合格した機材だけが、UCIのレースに出場を許される、というものです。
このため、UCIマークの付いた市販の車体、パーツは、それだけでプレステ―ジが与えられたのも同然となるため、各社ともUCIマーク獲得には意を注ぐことになります。
同時に、UCIの姿勢は、良くも悪くも自転車の進化に影響力を持つことになります。
そうです、みなさんもよくご存じのロードバイク6.8kgルールがその代表的な例です。
① 6.8kgルール
UCIは1996年のルガノ憲章で、ロードレース車両の6.8kg制限を設けています。
それは、UCIの慎重な姿勢を体現したものであり、ロードレースの安全には、むやみな軽量化は好ましくないとの判断から来ています。
この規定は、レースだけでなく、市販ロードバイクにも多大な影響を与えています。市販車でロードレースに出る可能性があるのですから当然のことといえます。
スポーツは機材の良し悪しで戦うものではない、との観点からは妥当な判断かも知れません。ただ、ICANのようなメーカーや、ロードバイクの愛好家からは、物議を醸し出す結果となりました。
メーカーの技術開発の力は侮れません。カーボン繊維の積層構造の改良に懸命に取り組んだ結果、現在では、当時よりはるかに軽い安全な車体を造ることが可能となっています。実際、ICANが試作した超軽量の車体は、充分な剛性と強度を保った素晴らしいクライミングマシンとなっています。
② エアロルール
もうひとつの有名なルールにエアロルールがあります。
いつも話題に上がっていたのは、3:1比率のルールです。これは、フレームチューブの断面の縦横比が3:1を超えてはならないというものです。さすがにその規定は数年前に廃止されました。
ところが、市販のエアロバイクはいまだにほぼ同じ形状を保っているのです。というのも、フレームチューブは断面が8㎝の箱の中に収まるという規定があるのです。これは、前述の3:1ルールを言いかえたものに過ぎません。これでは、縦横比の大胆な変更は不可能に近くなってしまいます。また、フレームへのフェアリングの追加や、ヘッドチューブに空力的付加物を付けることもできません。
これに対し、ICANは、写真のA9のような新しいモデルでは、総合的な空力バランスを整えることによりパワー消費量を減らし、すぐれた効率のフレームを造ることに成功しています。
このように、UCIルールは、ロードバイクの品質や安全性に貢献するものですが、かなりの制約をメーカーに課しているのも事実です。その中で、ICANなど多くのメーカーは、しのぎを削っているのです。
3 UCIの認証について
UCI認定レースに参加するには、UCIステッカーの貼られた機材を使用する必要があります。UCIのイクイップメント委員会は、パーツごとに厳しいテストを実施した後、ステッカーを交付します。
① UCIホイールテスト
ホイールを例にとり、テストの具体的内容を紹介します。
テストは落下試験でおこなわれます。
ホイールをテストベンチに取り付け、上部から6~10kgのスチールブロックを落下させます。スチールブロックには金属同士の接触による無用な破壊を避けるため、20㎜厚のゴムパッドを装着します。タイヤは付けない状態ですので、実際の走行状態ではあり得ないほどの衝撃が加わります。すべての工程において、画像を含めたテストデータが作成されます。
ホイールがテストに合格するためには、次の内容をクリアする必要があります。
- 目視できる亀裂や層間剥離がないこと
- 横の寸法に変化がないこと、1.0㎜を超える横方向の振れが出ないこと
- 縦の寸法に変化がないこと、1.0㎜を超える縦方向の振れが出ないこと
② UCIの認証が意味するもの
自社製品がUCI公認レースに出場する資格を与えられるということは、製品として、世界に通用する品質と性能を備えていることのなによりのアピールとなることは、すでにお話した通りです。メーカーが認証を受けるためには、UCI基準を上回る品質の製品を用意する必要があります。これは、ユーザーにとっても大いにメリットのあることだといえるのではないでしょうか。
4 ICANのカーボンホイールについて
ICANの上位モデルはUCI認定を受けています。つぎのPDFで確認してください。
しかし、実際のところ、UCI認定を受けているいないにかかわらず、ICANでは、すべてのモデルに認定レベルの製品を提供していることにも注目してください。
ICANホイール全モデルに2年間の保証が付いていることがなによりの証です。
5 最後に
私たちICANが中国におけるトップサプライヤーを目指すうえで、UCI認証は不可欠の要素でした。この試みは成功しつつあり、製品レベルの向上にも役立っています。
これからのICANにもご期待ください。
ICANカーボンホイールはこちら→【ICANホイール公式HP】
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