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 ロードバイクのカーボン樹脂 大研究

による nicole hu 18 Aug 2020 0 コメント

カーボンロードバイクに使われている「カーボン」、イメージでは知っていても、なぜ軽量なのか、なぜ高価なのか、など知らないことが多すぎると思いませんか?ここでは、カーボンの世界を少し紐解いてみたいと思うのです。できるだけ学術的な説明は避けて、わかりやすく説明していきます。最後までご覧いただければうれしいです。

カーボンとは?カーボン樹脂とは?

① 材質

私達が「カーボン」と言う時、それは「カーボンファイバーを樹脂で固めたもの」 くらいの認識になるのではないでしょうか。実際、簡単に言えばその通りで、以下のステップを踏んでカーボンの素材は作られます。

1) 1000度の高温でアクリル繊維を焼き、炭化させた繊維をつくる

2) このきわめて細い繊維を織り込んで布状のカーボンクロスをつくる

3) カーボンクロスに樹脂を染み込ませ、プリプレグシートをつくる

TORAYから自転車メーカーであるICANに納入されるのはこの状態のものです。まだ柔軟性のある材質です。生地にはグレードがありますし、織り方にも平織、綾織といった違いがあります。ガラス繊維の5~25倍という高価なものです。

② 製法

ICANに届いたカーボン素材のプリプレグシートは、当社エンジニアの設計通りにコンピューター制御でカットされ、そこからは人の手で型に沿って貼付けられていきます。部位によって重ねる枚数も変えています。繊維の方向は強度に関わるので重要です。パイプ状の部位は、きれいな空洞部分を確保するため、内部に風船や成形材料を仕込みます。すべては綿密に計算されており、製品の品質にバラツキはほとんどありません。また、気泡の発生を極力抑える独自の技術も駆使しています。

このあと、いよいよオートクレーブという圧力釜で焼き上げるのです。出来上がったものは、完全に硬化していて、すでに製品の原型を見ることができます。このあと、研磨、穴あけ、塗装などの仕上げを経て、製品検査後、完成へと至ります。カーボンの完成品は、設計次第で剛性をある程度調整できます。しかし、剛性を上げすぎると引張強度が低くなります。それぞれの部材として最適な特性を見つけることも、エンジニアの腕の見せどころです。

なお、これらは、ドライカーボンという剛性が高く軽量な最高の方法ですが、他にウエットカーボンという、圧力釜を使わないで硬化樹脂を染み込ませ、自然乾燥させる方法もあります。自動車などにはよく使われる方法ですが、当社ではこの方法は採用していません。

③ 用途

カーボンファイバーは、自転車では主にフレーム、ホイールに使用されますが、細かく見れば、ハンドル、ステム、シートポスト、コンポーネントパーツなど様々な箇所に使われているのに気付くでしょう。

④ メリット

高強度・高剛性である  鋼の引張強度の7~9倍という高さです。

軽量である  同じ強度のアルミ材の2/3の軽さです。

設計自由度が高い  ファイバーの組合せにより自由に構造・強度を設計できます。

⑤ デメリット

コストが高い  製品化には大変な数の工程を経る必要があります。

紫外線に弱い 屋外では、変色、品質劣化の恐れがあります。

衝撃に弱い  想定外の箇所の衝撃・曲げに弱いです。

リサイクルが難しい  複合素材であるCFRPを回収する技術の開発はまだです。

導電性がある  絶縁性がないということで、メリットでもありデメリットでもあります。

 

カーボンロードバイクのフレーム

フレームはメインの三角部分とその他の部分を別体で作ります。出来るだけ小さなパーツの方が精度を高く作れますが、全体の剛性を考えると、大きく一体の方がよく、その最適解を計算しての結果です。研磨にかかる手間も相当なもので、この部分は人手に頼るしか方法がありません。各部の穴開けはコンピューター制御で機械が正確に行います。カーボンの塗装は、実は難しく、これにも特別な技術を要します。チェック工程も厳密に行います。

ICANのフレーム製造工程が動画でご覧になれます。

 

カーボンロードバイクのホイール

ホイールの製作は格別に神経を使うものです。製作の出来は完成後のチェックですべて顕わになります。とはいえ、材料のカッティングはコンピューター制御された機械が正確に行います。組付けは人手に頼らざるを得ませんが、見事にマニュアル化された製造工程で、誤差を少なく保っています。精度・剛性はもちろんのこと、その仕上げの美しさも、ICANの得意とするところです。

こちらはICANのホイール製造工程の動画です。

 

まとめ

カーボンファイバーという技術、生まれは日本だということはご存じでしたか?このため、ほとんどのカーボン素材はTORAYをはじめとした日本企業が供給しています。現在のところ、軽量・高剛性の素材として、カーボンファイバー以上の素材はありません。更なる技術開発の余地もありますし、それによる量産化、低価格化の可能性も秘めており、カーボンファイバーの未来は明るいものと言えるでしょう。この未来につながる材質を、私達ICANは大切に進化させ、さらに素晴らしい製品を作ることに燃えています。もちろん、現在の製品ラインアップの完成度にも、私達は誇りを持っています。どの製品をご注文いただいても、決してあなたの期待を裏切ることはないことをお約束します。

 

 

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