ロードバイクのギアについて知っていますか?
ロードバイクで、自分のライディングスタイルが決まってくると、ギアとギア比について気になって来るものです。
まずは、あなたのバイクのギアをチェックしてみましょう。
そして、様々なギアのパターンについて想定してみましょう。
1 ロードバイクのディレーラー
ご存じの通り、ロードバイクの変速は前後のディレーラーを使っておこないます。
ギア数は、前2枚、後8~11枚となっています。
これらを使って走行状態に合ったギア比を選びます。
最適なギアで加減速できた時は実に気分のいいものですが、何となく漠然とギアシフトをおこなっている場面が多いのではないでしょうか。
まずはそれぞれのギアの歯数を見ることによってギア比について考えていきましょう。
2 ロードバイクのギア比
あなたのバイクがシマノの105コンポであれば、次のようなギアが付いているかもしれません。
フロントギア 大50T 小34T (それぞれギアの歯数を示します。T=teeth)
リアギア 11-28T
ギアのどこかに歯数は印字されていますが、実際に数えてもいいでしょう。
これを、具体的に書き出してみると次のようになります。
小数点のある数字がギア比になります。
ギア比とは、フロント歯数÷リア歯数の数値です。
後 11T 12T 13T 14T 15T 17T 19T 21T 23T 25T 28T
前50T 4.55 4.17 3.85 3.57 3.33 2.94 2.63 2.38 2.17 2.00 1.78
前34T 3.09 2.83 2.61 2.42 2.27 2.00 1.79 1.62 1.48 1.36 1.21
赤数字は前後それぞれのギアの適正な組み合わせ範囲を示しています。
ここで確認しておいていただきたいのは、ギア比は数字が大きいほど重くなるということです。
理論上、この表でケイデンス80rpmを回しきることができれば、11Tのギアで46km/hの最高速が出せることになります。
3 クロースレシオとワイドレシオ
クロースレシオ(close ratio)は、歯数の近いギアが組み合わさっているカセットスプロケットのことを言います。
上の表を例にとると、トップギアの11Tから15Tまでギア歯が1個ずつ増えているのがクロースレシオです。それぞれの段差が少ないため、スムーズな変速が出来ます。
17Tからは2~3個ずつ増えていますが、この部分はワイドレシオといえます。より多くの変速範囲をカバーできるのが特徴です。
4 通常のギア構成
① フロントギア
おおむね3種類のパターンが標準的です。
53T-39T ノーマルセットと言われる組み合わせですが、脚力・体重が必要です。
TTレースのように平地をガンガン走るのに適しています。ICANのエアロA9にはこのギア数が採用されています。
52T-36T セミコンパクトと言われるサイズです。タイムが出やすいので、レースに向いているとされています。2枚の歯数の落差が大きいので、チェーン落ちには気を付ける必要があります。
50T-34T コンパクトと言われるセットですが、現在かなりの車種に標準装備されているのがこれになります。通常のツーリングには最適なサイズと言えるでしょう。
② リアギア
シマノ105は標準で以下のギアが選べます。
11-28T 11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28T
11-30T 11・12・13・14・15・17・19・21・24・27・30T
11-32T 11・12・13・14・16・18・20・22・25・28・32T
12-25T 12・13・14・15・16・17・18・19・21・23・25T
11-34T 11・13・15・17・19・21・23・25・27・30・34T
バイク乗りにとっては、単なる数字でなく、空想の広がる資料だと思いますがいかがでしょう? ディレーラーの進化により、11-30Tという高速良し、登り良しという、ほぼ万能と思えるセットが選べるのは心強い限りです。
トップ側の11Tが必要ないという意見もありますが、これは下りでスピードに乗ると12Tでは踏み切ってしまうことがあるからです。したがって、長い下り坂を多用しない場合は12Tからのセットで問題ありません。
登りのラクな11-32Tと11-34Tはトップとローのギア数が離れているため、リアディレーラーをGSというロングゲージで使用する必要があります。
余談ながら、乙女ギア、お嬢様ギアというものをご存じでしょうか。
上記のリア32T、34Tといったギアは、スプロケット径がいかにも大きく、コンパクトな方がカッコイイと信じる硬派のライダーからそう呼ばれたりします。
しかし最近、ベテランのツーリング仲間たちの中にも「乙女」になるライダーが結構いて、坂道を平気な顔をして登っているのを見ると、これもアリだな、と思わせられます。特に本物の乙女と年配のライダー達にはおススメかもしれません。
5 クランク長
ギアのことに触れるのであれば、クランク長のことについても触れておかなければなりません。クランクの適正な長さはどうやって決めればいいのか、という問題です。
通常、クランク長は次のサイズが一般的です。
165、167.5、170、172.5、175㎜
身長・体重・フレームサイズにより自ずと決定されるのが通常で、日本では、男性サイズであれば170㎜が標準で付いて来ることが多いと思います。事実、このサイズが一番使いやすいとされています。完成車のラインアップによっては、どのフレームサイズでも一律170㎜というケースもあり、あまり体格による差は意識しないでいいようです。
ところで、一部で試みられているのが、短いクランクへの変更です。
170㎜→165㎜や、170㎜→160㎜というのが多いようですが、極端な例では、143㎜というものもあり、なかなか具合が良いという声が上がっていたりするのです。
なぜだと思いますか?
クランクが短いと、ペダルが上死点に達した時、ペダルの高さが下がることになります。ペダルの上死点乗り越えがラクにおこなえるということです。具体的には、関節の縮みが最小限に抑えられ、体への負担が減ることにもなる、というものです。
また、回転半径が少なくなることにより、ペダルの回転移動速度も抑えられます。これらの結果、タイムの短縮が期待できるようです。
もちろん、デメリットもあり、ダンシングには向かないこと、踏み込みが重くなるので、ギアを軽いギアに換えなくてはならない場合もあることなどがあげられます。
もし、興味があって、試乗車が見つかれば、試してみる価値はありそうです。
6 フロントシングル
先にあげた、ギア比の表を見ていて、何か疑問に思われませんでしたか?
結局、11枚すべてのギアをフロントの1枚でまかなうことは出来ず、前後ギアの組合せを上手に変えて、チェーンがクロスしないようにしなければなりません。決して、2×11=22速ということでないのはご存じの通りです。
であれば、いっそフロントを1枚にしてリアのワイドレシオ化でカバーしてみるのはどうか、という考えが浮かび、実際に試みもされています。
リアの幅広いギアに対応するため、フロントのチェーンリングをウルフトゥース歯という長い歯にしてチェーン落ちを防ぐことで対処可能のようです。
リアのギアが大きくなるので、重量軽減効果はあまり期待できないようですが、見た目がスッキリすることもあって、気軽なツーリングにはひとつの動きとして無視できないところではあります。
7 まとめ
ロードバイクの心臓部といえるギアについては奥が深く、なかなか1回の記事では語り尽くせないようです。また、切り口を変えた特集を組めたら面白いと考えています。
そして、お決まりですが、このセリフを最後に言わせてください。
ICANブランドはサイクリストの味方です、何卒よろしくお願いします!
【参考】ICAN製品公式HP