カーボンフレームのメリット・デメリットとは
一昔前まではカーボンフレームの自転車と言えば、超高級品でした。
それが現在では高級自転車の素材としては必須となってきました。
高級品なので、その特徴を知った上で大事にしていきたいところです。
今回はカーボンについてです。
そもそもカーボンとはどんな素材か
カーボンと言うと、割と耳にするようになった素材ですが、まだ中々馴染みがないのも正直なところです。
実は元々、人工衛星、風力発電の羽根などに使われていたのですが、近年では自転車、ゴルフクラブ、釣り竿、テニスのラケット、そして、航空機にも使われている汎用性の高い素材なので。
航空機と言えば、有名になった777(トリプルセブン)の後継機となるボーイング787では50%使われているのです。
777では約10%でしたが、強度や軽いことなどが評価され、787では50%にまで増えました。
燃費は20%も向上したそうです。
技術の向上とともに、自転車にも使われるようになり、上級のロードバイクはカーボン素材です。
これまでは、カーボンと言えば、手が届かない次世代の素材でしたが、近年では何とか手が届くようになってきました。
しかし、まだ安いとは言い難い。
そこで、折角買ったのだから、長く大事に使いたいものです。
ただ、カーボンはそれ単体ではそれほど強度はありません。
自転車などに使われているカーボンは、「炭素繊維」と呼ばれるように、カーボン繊維で編み込んだシートを何層にも重ねて焼き付けることで複合素材CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)となるのです。
CFRPは、軽く、剛性が高く、強度に優れている自転車には理想的な素材なのです。
とはいえ、カーボンは編み込みの方向によっては半分程度の強度しか無いため、用途や形状によって緻密な設計が必要です。
カーボンのメリット
カーボンのメリットについてお知らせします。
挙げたら切りがないのですが、最も目を引く特徴は「軽さ」です。
剛性が高く、強度も高い、そしてしなやかです。
非強度は鉄の約10倍、弾性率は鉄の7倍。
どんな形でも形成できる。
「軽い」「強い」「しなやか」と言う珍しい素材です。
よくある素材では固いと、靭性と言って脆くなるのです。
日本刀をイメージしてみてください。
曲がるイメージはなく、ある程度以上の負荷がかかると突然折れますよね。
実際は、日本刀が折れるのを見る機会はほとんどないのでしょうが、靭性が高いとあの様な挙動になります。
一方で、針金は同じ鉄でも簡単に曲がりますよね。
折れるのではなく、曲がる。
同じ鉄でも性格が違うように、カーボンは樹脂と言ってもプラモデルとは全然違うのです。
カーボンは強く、軽く、そして、ある程度しなる要素がある理想的な素材なのです。
カーボンのデメリット
良いことばかりではありません。
カーボンにも弱点ともいうべきデメリットもあります。
想定しない方向からの力に弱い。
脆性破壊が起こる。
層間剝離が起こる。
「想定しない方向からの力に弱い」は分かりやすいのですが、あとは難しい言葉が多くて分かりやすく説明してくれているサイトはあまりないです。
まず「脆性(ぜいせい)」とは「脆(もろ)くなる」と言う意味です。
鉄は水素を含むと脆くなる性質があります。
これは大学で研究されるようなテーマで、何とか避けようとしている事柄です。
カーボンにも脆性があって、外力がかかるなどのことは一切関係なく、素材が脆くなってしまって、当初の強度から下がってしまうことがあるのです。
樹脂の場合紫外線によって脆性が起きていましたが、カーボンは比較的紫外線にも強い素材です。
それでも様々な条件で脆性はおきます。
次に「層間剝離」です。
これはハンバーガーを想像してみてください。
「バンズ – ハンバーグ – バンズ」の層になっています。
この層の間には、ケチャップやマヨネーズなどがかかっているし、ハンバーグ部分から肉汁もでるのでバラバラになりにくいです。
ところが、ケチャップも肉汁もないとしたら、持ち上げた時にバラバラになってしまいそうですね。
層を重ねて作るカーボンの場合、その層の中がどうなっているのかは特殊な方法でないと分かりません。
良くない素材のカーボンで形を作ってしまうと、層と層の間で剥がれてしまって強度が下がることがあるのです。
それを専門的な言葉で「層間剝離」と呼んでいます。
専門的に説明を始めると、もう少し複雑で本が1冊書けてしまうほど奥が深い内容なのですが、ここではざっくり分かれば大丈夫なので、そういう弱点もある程度にご理解ください。
「想定しない方向からの力に弱い」と言うのは、日ごろの乗り方に影響があります。
「脆性」については、日ごろの乗り方とメンテナンスが重要です。
「層間剝離」は製造上の問題と使用環境が影響しますので、少なくとも信用のおけるメーカー、信用のおけるお店で買うことです。
見分け方としては、歴史のあるメーカーの物を買いましょう。
ダメなメーカーの商品は2度買おうと思わないでしょうし、すぐに世の中から消えます。
一方で、ICANは2009年から営業していますので、信用していいメーカー、信用していいお店と言えます。
素材は日本製ですし、ここも信用していいと思います。
つまり、信用のおけるメーカーの製品を購入することと、日ごろの乗り方が大きく影響します。
具体的にどんなことに注意すべきなのか、それを次回の更新でお知らせしたいと思います。