自転車が雨に濡れた時のメンテンナンス方法
2021年8月は西日本を中心に大雨に見舞われました。
水没した地域もあり、被災された方、亡くなった方、お見舞い申し上げます。
この紙面でできることと言ったら雨で濡れたり、水没したりした自転車の復旧方法、メンテナンス方法をお知らせすることくらいです。
知っていることで、日常的にも役に立つ情報ですので、ぜひ一度お目通しください。
自転車が濡れた時の被害について
まず、水没なり、雨での水濡れのあと何もしないとどうなってしまうのか材質ごとに知っておきましょう。
「最悪の状態」がどういう状態か知ることが出来れば、その対策を取ることが出来るのです。
誰だって自分の自転車はきれいな方が良いに決まっています。
まずは、「カーボン」部分ですが水に強い素材です。
カーボンは炭素と樹脂でできているので、ほとんど水を吸いません。
次に、「アルミ」です。
正式にはアルミニウムです。
金属なのですが、さびにくい素材です。
表面処理をしなくても自然に表面に酸化被膜が出来て錆びないのです。
酸化皮膜は白っぽいので、フレームなどの場合は傷が入り、塗装が剥げてしまった場合、しばらくは金属らしい銀色の下地が出るのですが、次第に白っぽい銀色になります。
「アルミ」に似ているもので「マグネシウム」もあります。
マグネシウム合金の混ぜ物のほとんどはアルミなので、アルミとひとくくりにして考えていいでしょう。
そして、「ステンレス」ですが、「SUS(サス)」と呼ばれたり「ステン」と呼ばれたりすることもありますが、全部同じものです。
「ステン(錆び)」+「レス(ない)」と呼ばれるくらいなので、基本的に錆びない素材なのですが、水に濡れたままにしておくと黄色っぽい錆が付きます。
「もらい錆び」と呼ばれています。
深い錆にはならないのですが、黄色くなったもらい錆びは濡れた雑巾や乾いた雑巾で拭いただけでは取れなくなってしまいます。
最後に、「鉄」は自転車において「鉄」と呼ぶことはほとんどありません。
鉄単体では錆びやすく、脆いので世の中で使われる鉄のほとんどは「合金」です。
アルミもマグネシウムもステンレスも基本的に合金です。
例えば「クロモリ」と呼ばれているものは、クロムモリブデン鋼と呼ばれているもので、その名の通り「クロム」と「モリブデン」と「鉄」の合金です。
鉄は基本どうやっても錆びやすいです。
錆びると茶色のサビを作り、そこから広がっていき朽ちて穴が開いてしまいます。
カーボン部分のメンテナンス
カーボンはほとんど水を吸わないので、基本的にほとんど何もする必要がありません。
ただ、濡れたままにしておくと水の中の不純物が結晶化して「水垢」として跡が残ることがあります。
自転車が水没した場合、カーボン自体には水を吸わないのですが、自転車が水没した場合はフレーム内の空間に水が入り込むことがあります。
ビス用の穴などがあればビスを外してそこから水を抜きましょう。
内部は見えないのですが、出来るだけ乾燥させないとカビなどが生えてくることがあります。
温度は55度で湿度40%以下の空間を作ってその中に一晩置いておけば乾燥します。
日本の場合、夏場の湿度は75%以上になるので屋外ではその環境になりません。
冬場には湿度40%前後になりますが、温度が低すぎるので、屋外に置いていても条件を満たすことはほとんどありません。
部屋に持ってくることが出来る場合は、風呂場などの限られた空間に自転車を置き、除湿器を稼働させれば内部まで乾燥させることが出来ます。
大きなビニール袋に入れて除湿器の吐き出し口をつないでも除湿できますが、「布団乾燥機」を使うと比較的簡単に乾燥させることが出来ます。
アルミ部分とマグネシウム部分のメンテナンス
アルミニウムはお知らせしたとおり、錆びにくいので、濡れた時は拭きとるだけで大丈夫です。
フレームの内部に水が入った場合は、カーボンと同じく水を抜いて乾燥させましょう。
ステンレス部部分のメンテナンス
ステンレス部分は濡れてもふき取るだけで十分です。
濡れたままにしておくともらい錆びで黄色い錆が発生します。
鉄部分のメンテナンス
鉄がそのまま使われていることはありません。
最低限メッキがされていて、その上にコーティングか塗装されているのが一般的です。
自転車全般のメンテナンスについて
材質ごとに特性とメンテンナンス方法をお知らせしたのですが、実際の自転車を考えるとイメージがつきにくいものもあります。
そこで、まとめも兼ねて自転車全体についてお知らせします。
フレームの場合は、カーボンなのか、クロモリ(鉄)なのか、アルミニウムなのかで上記を参考にメンテしていただくことになります。
濡れたら拭き取っていただくのが良いでしょう。
ただ、雨ではなく泥水の場合は、あとで臭いが出てくることがありますので、先に水道などのきれいな水で洗い流して、そのあと拭き取る方がきれいになります。
鉄やアルミでも水ですぐに錆びることはありません。
ただ、濡れたままにしておくともらい錆びにより黄色くなってしまいます。
濡れた後は拭き取り、仕上げに乾いた雑巾(もしくはウエス)で拭き取りましょう。
ハンドル部分が銀色でピカピカしている場合は、鉄にニッケルメッキがされている可能性が高いです。
濡れた場合は、拭き取ればそれだけで十分です。
サドルを固定しているねじ部分やレバーなどの多くは鉄+ニッケルメッキです。
ここも基本的に拭いて水気を拭き取ればOKです。
ペダルは樹脂でできていることが多いので、洗い流しておけば拭かなくても問題ないです。
ただ、軸の金属部分は鉄である可能性が高いのと、内部にベアリングと言う水が入ると抜けにくい部品が使われていますので、しっかり乾燥させてください。
取り外して振り回して遠心力で水を切るか、上記の除湿器で水分を飛ばす方法が有効です。
ブレーキワイヤーなどはコーティングされているので、雑巾で拭き取るだけで十分です。
タイヤはゴムなので、洗えばそのままでも問題ありません。
リムは銀色の場合は、鉄+ニッケルメッキだと思います。
拭き取りだけでOKでしょう。
カーボンの場合もふき取りだけで十分です。
全体的に狭い隙間があり、そういったところにこそ水分が残りますので、綿棒などの先が細いものを使うことできれいに吸い取ることが出来ます。
一度錆びてしまったら、酸で錆びを取る方法もありますが、そのあとアルカリを使って中和させないと余計に錆びてしまうので専門家でないと難しいことも多いです。
錆びさせないようにふき取りに力を入れた方が絶対にいいです。
雨に濡れた時から水ボスさせてしまった時まで、適した対処で愛車を良い状態に保ちましょう。