ペダルを漕ぐと発生するカチカチ音を止める
機械製品には意図しない音がすることがあるのです。
その先には大きな不具合が待ち構えていることもあります。
それを事前に知らせてくれる要素の一つが「音」なのです。
だから、意図しない音がしている時にそのまま放置してしまわずに、音の段階で対処して大きなトラブルを未然に防いでいただきたいと思います。
今回は、筆者が3か月くらい悩んだ「カチカチ音」について補足も含めてシェアします。
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カチカチ音の症状
まずは、ここでいう「カチカチ音」がどのような症状かお知らせします。
もし、あなたがお悩みでしたら、ご自身の自転車の症状と比べてみてください。
・低速で走っている時は全くと言っていいほど音はしない
・回転数を上げると「カチカチ」と音が鳴る
・ペダル1回転に1回「カチ」と鳴る
・どこから鳴っているかはよく分からない
・高回転でカチカチなっている時に段を上げて回転数下げると音が止まる
いかがでしょうか?
常に音がする訳ではなく、条件が揃うと鳴る音なのです。
そのため、メンテナンス時に駐車場の中を試し乗りしても音はなりません。
また、自転車から降りてペダルを回しても全く症状は出ないので、対策の打ちようもありませんでした。
ちなみに、ネットで調べたりしたのですが、チェーンとスプロケットがこすれる音とは全く違います。
「シャー」ではなく「カチ・カチ・カチ」といった具合です。
■カチカチ音の原因:変速機
カチカチ音の原因として考えられるのは、変速機です。
場所が分からない場合は、とりあえず潤滑油を足してみれば改善することがあります。
画像を見ていただき、可動部分(部品同士が相対的に動く部分)については潤滑OKです。
市販の潤滑油でOKです。クレ556(CRC)などが有名です。
ただ、画像内に赤丸で示した部分は注油NGです。
例えば、ボルト。潤滑油を振ることで緩みやすくなります。
ボルトを緩めたいときには有効ですが、緩める必要がないボルトに対しての潤滑は故障や事故の原因となりますので絶対にやらないでください。
次に樹脂パーツへの潤滑ですが、潤滑して悪いわけではないですが、その必要がありません。
樹脂パーツは元々摩擦係数が少ないので潤滑する必要はないからです。
また、材質によっては耐油性があまり良くなく、潤滑することで劣化が早くなるものもあります。
■カチカチ音の原因:クランク軸
意外な盲点だったのですが、クランク軸からの「音鳴り」です。
ちなみに、数か月悩まされた筆者の自転車の音鳴りの原因はここでした。
新品で買ってすぐになり始めたので、劣化ではないと考えていましたが、原因が分からず困っていました。
ペダルの固定ボルトを増し締めすることで音が止まりました。
クランク軸のベアリングに何か問題があったと思うのですが、増し締めすることでピタリと止まりました。(別に緩んでいた訳ではない)
一応、その手順もお知らせします。
軸のボルトは樹脂のカバーが指定あることがあります。
これを外さないと始めることもできません。
自転車によるのかもしれませんが、画像の様にねじが切ってあるので回せば外れて行くのですが、正直回すことはできません。ペダルを傷つけないように樹脂のスクレイパーか爪など固くないものを隙間に入れてテコの応用で外します。
樹脂カバーを外すと、六角ボルトが出てきます。
六角頭のボルトなので、通常ならばスパナで回せばいいのですが、入り込んだ位置にあるのでスパナでは届きません。
そんな時に役に立つのが「ラチェット・レンチ」です。
人によっては「ラチェット」とか「ジャリジャリ」とか呼ばれているものです。
14mmのビットを準備すれば合うはずです。
ペダルが回転するので、画像の様に片手でペダルを支え、もう片方にラチェットを構え両側から力を加えるようにして、ペダルの回転を防ぎつつボルトを締めます。
トルクについては色々な意見があると思いますが、普通の人がこのサイズのねじをねじ切ったりは出来ないので、とりあえず体重をかけて、動くか動かないかをチェックする程度でいいと思います。
上手く締まったら、必ず逆側も同様にして確認しましょう。
■カチカチ音の原因:ペダル
一応、ペダルの軸も増し締めしておきましょう。
ペダルの軸にもベアリングが入っているので、劣化してくると音はすると思います。
ただ、ペダル1回転に対して音が1回ではないと思うので、今回の件には当てはまりにくいのですが、絶対にないとは言い切れません。
ペダルは左右で違う部品です。
右用と左用があり、シールが貼ってあったり、刻印がされていたりして目視できるようになっていることが多いです。
画像は(R)と表示されているので進行方向に対して右側用のペダルです。
ここは15番のレンチで絞めることができます。
先ほど同様にペダルが回るのを防ぎつつ絞めるのがコツです。
片手は自転車本体を支え、右手でレンチを持って時計回りにレンチを回します。
※逆は逆ねじになっているので、回転させる方向にご注意ください。
筆者の場合は、これでピタリとカチカチ音が止まりました。
ぜひ、知っておいて症状が現れた時に思い出してご活用ください。
外部ライター:奥野 晃一