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ロードバイクのコンポーネント:成熟の歴史

による nicole hu 15 Feb 2021 0 コメント

ロードバイクの進化を語るには、ロードレースの歴史をたどるのが近道です。

今回は、その中でもコンポーネントの歴史を振り返り、ロードバイク愛好家としての一般教養(笑)を高めることにいたしましょう。

 

1 変速機のなかった頃はどんなレースをしていたのだろう?

 

答えは簡単です。自転車レースは機材に頼らず、あくまでもフィジカルな戦いとみなされていたのです。

 

19世紀初頭の1818年に自転車は発明されました。当初は、足で蹴って進むものでした。

しかし、自転車が2台集まれば競争心が芽生えるのが人間のサガというものです。

初期の、前輪が異様に大きい、車軸に直接ペダルを付けただけの自転車でレースをやっていたのです。最初のロードレース開催は1869年のことでした。

 

1896年の第一回近代オリンピックでは、自転車が競技として採用されました。この頃には、すでに現在のような自転車の基本形が出来上がっていました。

そして、1903年には、あのツールドフランスも始まっています。

 

先に触れたとおり、当初、レースは機材に頼るものではない、という考えが本気でまかり通っていて、技術の進歩にロードレースは直接貢献するものではありませんでした。

 AERO A9

 

2 業界の技術革新がはじまった!

こうして、自転車は現在の形に近づいていきますが、最初の変速機は実にプリミティブなものでした。

リアのスプロケットをホイール(ハブ)の両側に一枚ずつ付け、車輪を外して向きを変えることによりギア比を変える、というものでした。レースでは、地形の変化地点に差し掛かるとバイクを停め、ホイールを脱着していたのでした。

 

しかし、ギア比を変える、という発想が出てきたことは、その後の進化の大きなファーストステップとなります。

1920年代になり、3速の変速機が作られますが、完成度は低く、レースでは使用されませんでした。

さらに、1950年代になり、外装5段のものが出来ましたが、まだ戦闘力には欠けていました。

 

しかし、各パーツメーカーは競って技術改良をおこない、変速機、ブレーキ、クランク周りの各パーツを選んで組み合わせる方法でそれぞれの自転車を組み上げていました。この傾向はかなり後々まで続き、様々なパーツメーカーが存在していました。

 AERO A9

3 現在に通じる技術が花開いてきた

この状況を変えた最初のきっかけは、1959年にカンパニョーロが発表したグループセットの考え方です。現在では当たり前の、機械部分をひとつのシリーズとして統一するというものです。

 

この流れを決定的にしたのは、1970年代に入り、シマノがコンポーネントの概念を打ち出したことでした。

ここに至り、ついに変速機はロードレースでの戦闘力を獲得することになるのです。

 

4 近年の目覚ましい進化

この後の進化を箇条書きにしてみます。

 

・1983年 シマノがインデックスシステムSISを開発し、確実なシフトを可能にする。

       デュラエースもこの頃に登場。2×5速。

       ここから多段化が始まる。

 

・1990年 シマノがブレーキレバーにシフト機能を付ける。

       デュアルコントロールレバーとして発表。

 

・1991年 シマノが今に至るSTIシステムを確立する。

       レースでの優位性が鮮明になる。

       カンパニョーロもエルゴパワーとして同様の機構を開発。

 

・2007年 SRAMがロードバイク用コンポに進出。

 

・2008年 カンパニョーロが上位機種を11速化

 

・2009年 シマノが電動化したデュラエースDi2発表。

       アルテグラも2011年電動モデル発売。

 

・2014年 カンパニョーロがスーパーレコードEPSとして電動化を実現。

 

・2015年 UCIがディスクブレーキの試験採用。(のち危険として一時中止)

       2017年には公式レースでのディスクブレーキ試用再開。

 

・2016年 SRAMがRED eTapとして、無線による電動化を実現。

 

5 コンポ―ネントメーカーの話

こうして見てくると、老舗のカンパニョーロが様々な基礎を築き、シマノが優れた技術力でこれを引き継ぎ、新星のSRAMが登場することによって、これら3社がお互いの技術革新でロードバイクの進化に寄与している様子が見えてきます。

 

現在の3社は、シマノが業界をリードし、カンパニョーロは老舗の貫禄で、高級志向の趣味的で味わいのある製品を提供し、SRAMは、さらにその上を行く高級志向でアバンギャルドかつオンリーワンな製品づくりに特化しているように思えます。

 

技術開発においても、各社独自のスタンスを持っています。

SRAMが無線の電動化で見せた、天才的なひらめきで素晴らしいデバイスを開発し、それをじっくり熟成・継承するというものであるのに対し、シマノはちょっと違います。

シマノがディスクブレーキ開発でも見せたように、新しい技術をどんどん製品に採り入れ、多少の整合性のなさが仮にあるにしても、恐れず製品のジャンプアップを果たし業界をリードする、という頼もしさがあります。

 

それが端的に現れているのが、シマノの「トリクルダウンテクノロジー」でしょう。

これは、上位グレードの技術を、下位グレードもモデルチェンジを機にどんどん採り入れるというシステムです。

つまり、すべてのグレードで常に最新のテクノロジーが得られるしくみが整えられていることになり、シマノの高いブランドイメージを支えているというわけです。

 

高級だけれど保守的で古臭いと思われかねないカンパニョーロの擁護もしておきます。

いまだに、レース界ではなくてはならない存在のカンパニョーロですが、最近では、いち早くリアギアの12段化を成し遂げる、という進取の気質も忘れてはいません。

 

もちろん、シマノも黙ってはいません。

聞くところによると、14速の特許を取得したとの情報もあります。

どんな製品として実現するのか楽しみですね。

 Aero A1 

6 最後に

大阪の堺市は、自転車の町として有名です。自転車産業が集約しており、シマノの本社があることでも知られています。そして、そこにある自転車博物館は、自転車好きには見逃せないスポットです。

そこには、黎明期から現代までの自転車が数多く展示されており、順番にみていくと、自転車の進化する姿が目の前で展開され、興味が尽きません。

 

歴史を知ることは、より深く今を知ることになります。

今回は、少し固い内容に終始したかもしれませんが、皆さんの関心の領域を広げる一助になれたとしたら幸いです。

 

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