本気の折りたたみミニベロ ICAN F1
ICANからリリースされた新しいミニベロが早くも話題になっています。
至る所に小技を効かせた、スポーティミニベロF1、まず目に飛び込んで来るのがエアロ形状にシェイプアップされたフレームでしょう。
それが暗示するものは何なのか、考察してみたいと思います。
1 ICAN F1のフレーム
カーボンファイバーフレームを使用した速い折りたたみミニベロをつくる ! という強い信念のもとに制作されたICAN F1、まず、エアロ形状にデザインされたフレームの細部の造りを見て行きましょう。
ワイヤー内臓式がまず確認できます。中折れ式のフレームでは、まだ珍しい処理です。これにより、スリムなフレームがよりスタイリッシュにまとめあげられています。
ハイライトとなるトップチューブの折れ曲げ部分の造りに注目してください。通常であれば、ここに無骨な接合プレートを設けるのですが、それがありません。剛性と耐久性を確保するためのICANのノウハウが詰まっているキモの部分です。加えて、リリースレバーもフレームに面一を保ちながらスッキリと埋め込まれています。
トップチューブはスリムなボックス断面を維持しながら、上部にリブ状の張り出しを設け、剛性の確保を行うとともに、デザイン上のアクセントとしています。トップにフラットな面を設けることで、メカニカルで力強い印象を与えています。
その流れがシートポストに引き継がれます。カーボン製のシートポストは、みごとにエアロシェイプされています。
BB部です。前面投影面積の少ない処理を行う代わり、側面から見ると、頑丈な太い構造をしていることがわかります。ここでも直線基調のデザインは反復されており、それはリヤのフレームに続いて行きます。フラット面と繊細なアールでリアハブにつながる様子は実に美しく、デザイナーの満足げな表情が目に浮かぶようです。
出来上がったフレームは、重量が1417g。フォークと合わせても1754gと軽量に仕上がっています。折りたたみ可動部分の重量的ハンディを考え合わせると、この軽量さは魅力です。
2 ICAN F1のパーツ
ICAN F1には2グレードのモデルがあり、その違いは、ホイールとハンドルです。
上級モデルにはICAN製カーボンバトンホイールと、カーボンハンドルバーが装着されており、軽量化に寄与しているとともに、スタイリング上の際立ったアクセントとなっています。
① ホイール・タイヤ
20インチのホイールは406規格のものが採用されており、オールラウンドを考慮してタイヤは少し太めの1.75幅のスリックが装着されています。
これを1.25幅程度に交換すればさらにキビキビした走りが楽しめますし、軽量化にも寄与します。逆に、1.75~2.00幅程度のブロックタイヤに交換すれば、グラベルバイク的要素が加わり、フィールドの幅を広げることが可能です。
完成車重量をお伝えしておきます。
バトンホイールモデルが8.92kg、アルミリムモデルが10.18kgです。どちらも申し分のない軽さです。
② コンポーネント
シマノSORAの9速が採用されています。ギヤは、フロント53T、リヤが11ー34Tです。
フロント53Tは700Cのロードバイクであれば本気モードの歯数ですが、ミニベロをスポ―ティに走らせるにはちょうど良く、リヤのワイドレシオと相まって、街乗りからツーリングまで、幅広くカバーすることができます。
③ ブレーキ
ブレーキはTektroの油圧ディスクを採用しています。雨天時や下り坂では、今やディスクは定番と言ってよく、ICAN F1の行動範囲をさらに広げることになるでしょう。
3 ICAN F1の魅力
① サイズの魅力
20インチのタイヤ/ホイールには2種類のサイズがあります。451と406です。この数字はタイヤのビード部の径(ほぼタイヤの内径)を示しており、直径で約5㎝の差があります。
径が小さければ輪行に便利なコンパクトさが得られ、径が大きければ性能的に余裕が出ます。
ICAN F1はあえて径の小さな406規格を採用しています。
その理由は、小径でも充分なパフォーマンスを得られる設計が実現したからにほかなりません。そうなると、輪行時の取り回しの有利さがだんぜん光ってくることになります。
実際、ICAN F1を手にしたら、輪行袋を手に入れて、電車で遠くに出かけてみたくなること請け合いです。もちろん700Cのロードバイクなら、輪行は長い歴史のある方法ですが、運搬や組立の簡便さ、気楽さなどは今やミニベロにかなうものではありません。
② 運動性能の魅力
ミニベロでよく言われるマイナス点は、直進性の不安定さ、空走距離の短さ、段差超えのしにくさ、などです。
結論からいってしまうと、ほとんどそれを実感する場面はないでしょう。
直進性については、ジオメトリーなどの設計でかなりのカバーが可能で、ICAN F1の場合も、気になるほどではありません。
空走距離は700Cと比較すると確かに短いですが、長距離を乗ってはじめて違いを感じる程度です。
段差越えは気になりますが、それは700Cも同じこと。ロード寄りのスポーツバイクなら、どれも段差は注意が必要です。リム打ちパンクについては、むしろ太いタイヤを履いた分、ミニベロの方が気をつかわないですむこともあるほどです。
したがって、総合すると、中距離のツーリング程度であれば、性能的に不満を感じることはあまりないでしょう。むしろ、初速のノリの良さはミニベロの長所であり、ストップ&ゴーの多い街中では無敵に感じるほどです。
③ 保管スペースの魅力
よく言われるのは、ミニベロ乗りは、いつのまにか所有台数が増えている、というエピソードです。折りたたむと通常バイクの半分以下のスペースで収納できてしまうからです。
いつのまにかクルマのトランクが保管場所になっていた、というのもよくある話です。
クルマでドライブした先で、ちょっとミニベロに乗り換えて、周辺を散策する、といった楽しみ方ができることは、あなたの生活をさらに豊かにしてくれるでしょう。
4 ICAN F1の走行インプレッション
これまでに試乗した人の意見をまとめてみました。
- 軽くて速い、スピードの伸びが良く、簡単に巡航速度に達する
- 走行性能はクロスバイクと勝負できるほど
- 意外なほど剛性感があり、小さな自転車に乗っている感じがしない
- キビキビと車線変更でき、走っていて楽しい
- 乗心地はスムーズで快適
こういったところでしょうか。
気になる耐久性については、社内での入念な耐久テストを経ており、それはフレーム2年間保証という点に象徴されています。
5 最後に
ICAN内部でもミニベロ熱は高まっており、セカンドバイク、サードバイクとしての存在価値は光るものがあります。
しかし、昨今の過熱した世界的自転車ブームにより、市場全体の品薄状態が続いており、それは完成車本体にとどまりません。コンポはもちろん、純正ブレーキシューといったものまでその影響を受けています。
ICANとしてもそのことは憂慮しており、最善の供給体制を考えた製品づくりをこころがけています。
そんな中、このF1モデル、在庫確保のめども立ちニューモデルとしてリリースできました。
注文時のコメントのやりとりが可能なICANの直売システムを利用して、ミニベロライフをスタートしてみてはいかがでしょう。
ICAN F1折りたたみ自転車の詳細はこちら→F1
【参考記事】